冊子とは?サイズや製本・印刷方法の種類についてわかりやすく解説
冊子とは、複数枚の紙ページを1つの束状に綴じたものを指します。冊子はサイズや製本方法、綴じ方向、印刷方法などによって、見た目や強度、適切な用途が異なります。
本記事では、冊子の定義から定番のサイズ、製本、印刷方法の種類などについて、基礎からわかりやすく解説します。
冊子とは複数枚の紙を1つに綴じたもの
冊子とは、印刷した複数枚の紙を、1つの束状に綴じたものを指します。印刷物を1つの束に綴じることで扱いやすさが増し、情報を整理できるメリットがあります。冊子は情報を効率よく記録・伝達する媒体として、身の周りの様々な場面で利用されています。
冊子は表紙と本文で構成されます。表紙は冊子のテーマや内容を伝える役割を持ち、本文は詳細な情報を提供する役割があります。冊子のページ数は基本的に4の倍数で構成され、これは印刷と製本の過程で1枚の紙を折りたたんで綴じるためです。
【 冊子と小冊子との違い 】
「小冊子」は冊子と似た意味で使われることが多く、厳密な定義はありませんが、一般的には小型でページ数の少ない、薄めの冊子のことを指します。用途としてはパンフレットや会報誌などが該当します。
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冊子のサイズ(判型)
冊子のサイズは「判型(はんがた、はんけい)」と呼ばれる定型の大きさで作られることが一般的です。ここでは、冊子の定番サイズについてご紹介します。
- A4判:210mm×297mm
- 冊子の代表的なサイズの一つ。カタログや写真集など、様々な用途に見られるサイズ。
- B5判:182mm×257mm
- 冊子の代表的なサイズの一つ。教科書やノートなど、教育の現場でよく用いられるサイズ。
- A5判:148mm×210mm
- 小冊子やリーフレット、パンフレットに向く小さめのサイズ。
- B6判:128mm×182mm
- 持ち運びのしやすい、手帳や小さなノートに多く見られるサイズ。
- 四六判:127mm×188mm(または130mm×188mm)
- 単行本やエッセイ集、ビジネス書などによく使われるサイズ。
- A6判:105mm×148mm
- メモや小冊子など、簡潔な情報伝達に適したサイズ。
冊子の製本方法
印刷した紙ページを綴じ合わせる作業を「製本」といいます。製本には、いくつかの方法があり、利用目的や冊子の強度に関係します。
針金で綴じる | 糊で綴じる | 糸で綴じる | リングで綴じる | 折り畳んで綴じる |
---|---|---|---|---|
中綴じ写真集・パンフレット | 無線綴じ漫画・小説・ | 糸かがり綴じ長く保存する冊子 | リング綴じノート・カレンダー | 空綴じ新聞・フリーペーパー |
平綴じ学会資料・会議資料 | 上製本アルバム・記念誌 |
【 中綴じ:紙の中央をホチキス止めする製本 】
中綴じは、見開きの状態の紙ページを重ねて2つ折りにし、折り目の中央部分を針金(ホチキス)や糸で綴じる製本方法です。綴じ方としては最もメジャーな方法であり、比較的ページ数の少ない冊子によく用いられます。ページを見開きいっぱいまで開くことができるのが特長で、写真集やパンフレットなどの用途に適しています。
【 無線綴じ(くるみ製本・アジロ綴じ):背部分を糊付けする製本 】
無線綴じは、糸や針金を使用せず、本文ページの背部分を表紙で包み、接着剤で固めて製本する方法です。強度が高く、ページ数が多い場合にも対応できるのが特長です。漫画本や小説、厚みのあるイラスト・写真集などの冊子でよく利用されます。
なお、無線綴じは「くるみ製本」とも呼ばれるほか、無線綴じを改良してより強度を増した、アジロ綴じという製本方法もあります。
【 上製本(ハードカバー):表紙に厚紙を用いた製本 】
硬く厚い表紙で本文をくるんだ製本方法で、絵本やアルバム、記念誌などによく用いられます。
製本の費用は高めですが、その分、高い耐久性と、他にはない高級感を演出することができます。
【 リング綴じ:穴を空け、リングを通す製本 】
リング綴じは、穴にリングを通してページを束ねる製本方法で、360°の開閉が可能なのが特長です。ノートやスケッチブック、カレンダーなどに用いられます。
【 空綴じ:紙を折り重ねるだけの製本 】
空綴じは2つ折りにした紙を重ねる方法で、「スクラム製本」とも呼ばれます。綴じの工程を挟まず、コストを安く抑えられるため、新聞やフリーペーパーなどで用いられることが多い製本方法です。
【 平綴じ:束ねた紙を横から綴じる製本 】
平綴じは、ページの背側(ノド)から5mm程度の部分の数ヵ所を、針金(ホチキス)や糸で綴じる製本方法です。ノド部分までページを開くことはできないものの、丈夫な作りになります。
ページ数が比較的少ない学会資料や会議資料、プレゼンテーション用の資料などに適しています。
【 糸かがり綴じ:糸でページを縫い合わせる製本 】
糸かがり綴じは、糸でページを縫い合わせる昔ながらの製本方法です。耐久性に優れ、上製本(ハードカバー)の書籍など、長く保存する冊子や特別な装丁を求められる冊子の作成時に用いられます。
冊子の綴じ方向
一般的な冊子の綴じ方向は「左綴じ」「右綴じ」のいずれかが主流です。ここではそれぞれの綴じ方向の特徴を解説します。
【 左綴じ(右開き) 】
左綴じはページを左側で綴じ、右側を開く方法です。左綴じは横書きの文章に向いており、英語などを使う海外では主流となっています。日本でも左から右へと読み進める教科書やカタログなどで用いられます。
【 右綴じ(左開き) 】
右綴じはページを右側で綴じ、左側を開く方法です。縦書きの文章に適しており、日本語で書かれた小説などの冊子では、一般的に右綴じが使用されています。
その他、冊子の上方向を綴じる「天綴じ」と呼ばれる方向もあり、カレンダーなどで用いられています。
冊子の各部の名称と用語
最後に冊子で使われる用語をご紹介します。冊子制作の現場でよく使われる名称なので覚えておくと良いでしょう。
- 天(てん)
- 冊子の上側の部分。
- 地(ち)
- 冊子の下側の部分。
- 背(せ)
- 冊子を閉じている側の部分。背表紙。
- 小口(こぐち)
- 背の反対側の、冊子のページを開く部分。
- ノド
- 本が綴じられている根本の部分。
- ノンブル
- 本文のページ番号を表す数字。
- 面付け(めんつけ)
- 印刷用紙に各ページの内容を正しい順序で配置すること。
- 台割(だいわり)
- 冊子を作る際に、ページ数や各ページの内容を割り振ること。
- 丁合(ちょうあい)
- 製本を行う前に、印刷した用紙をページ順にまとめること。
- 折丁(おりちょう)
- 印刷された紙をページ順になるよう折り畳んだもの。折本とも呼ぶ。
- 表1(ひょういち)
- 表紙。
- 表2(ひょうに)
- 表紙の裏。
- 表3(ひょうさん)
- 裏表紙の裏。
- 表4(ひょうよん)
- 裏表紙。
- カバー
- 表紙の外側を覆う紙。
- 見返し(みかえし)
- 表紙と本文をつなぐための紙で、表紙に接着されているもの。
- 遊び紙(あそびがみ)
- 表紙と本文の間に入れる紙で、表紙に接着されていないもの。
- 扉(とびら)
- 冊子の各ブロックの最初のページに単独でタイトルや見出しを印刷したもの。巻頭のものを本扉といい、章などの区切りに挿入されるタイトルなどが入るページを中扉という。
- 奥付(おくづけ)
- 一般的に書籍などの冊子の巻末にあって、書名、発行年月日、版数、著者、発行会社(版元)、価格などを記したページのこと。
冊子の制作ならグラフィックへお任せください
いかがでしたでしょうか。冊子の意味や定番のサイズ、綴じ方法を解説しました。
冊子とは印刷された紙を束状にまとめた刊行物であり、多くの情報を整理・伝達できるツールです。
また、冊子の制作においては、利用用途や目的に応じて適切なサイズや製本方法などの仕様が決まります。本記事が冊子を制作する際のお役に立ちましたら幸いです。
なお、当社のネット印刷サービスでは冊子の印刷を承っております。本記事でご紹介した中綴じや無線綴じ冊子はもちろん、豊富な用紙や加工メニューをご用意しており、様々な用途の冊子を制作することができます。ぜひご利用くださいませ。