コート紙とは?特徴や厚さ、上質紙やマットコート紙との違い
コート紙とは、紙の表面に光沢のある、つるつるとした手触りの印刷用紙です。安価で使いやすいため、チラシやポスターなど、商業印刷において広く一般的に使用されています。本記事では、コート紙の特徴と印刷における特性、同じく定番用紙である上質紙やマットコート紙との違いを解説します。
コート紙とは、表面に光沢がある汎用的な印刷用紙
コート紙は、つるつるとした手触りと紙表面の光沢感が特徴の用紙です。印刷の色の再現度が高く、安価でもあることから、商業印刷における定番用紙として広く普及しています。
「コート」とは、紙の表面に塗布されたコーティング剤を意味します。コート剤を塗布した紙は一般的に「塗工紙」と呼ばれ、印刷の色再現度やインクの乗りが良い特性があります。なお、コート剤の量が多いものから順にアート紙、コート紙、マットコート紙と名称が分けられ、色の再現性や光沢の強さに比例します。
印刷におけるコート紙の特徴
前述のように、印刷におけるコート紙の特徴としては、色の再現性の高さが挙げれられます。紙の光沢感も相まって、写真や鮮やかな色を使ったデザインとは相性が良く、チラシやポスター、カタログなど様々な印刷物に利用されています。また、表面に塗布されたコート剤によりインクの乗りが良い傾向があります。
コート紙の厚さとしては、チラシやビラに使う非常に薄いものから、梱包資材に使える厚いものまで幅広く存在します。以下に代表的なコート紙の厚みをご紹介します。
代表的なコート紙の厚みと用途
厚み(連量) | 特徴 | 代表例 |
---|---|---|
45kg | 非常に薄い用紙(裏面が透けやすい) | 新聞折込チラシ・ビラ |
90kg | 市販のコピー用紙よりやや厚い、 チラシに代表される厚さ | チラシ、フライヤー |
135kg | 官製はがきよりかなり薄い厚さ | チラシ、ポスター、カタログの表紙 |
180kg | 官製はがきよりやや薄い厚さ | 名刺、ポストカード |
360kg | かなり厚手のカードほどの厚さ | 化粧箱、紙製うちわ |
【 連量とは? 】
用紙の厚さを表す単位で、ある規定のサイズの用紙1,000枚(=1連または1Rと呼びます)あたりの重さを表します。同じ用紙であれば連量が重いほうが厚い紙ということになります。また、同じ連量でも用紙によって厚みが異なります。
<関連記事>
マットコート紙・上質紙との違い
同じく印刷の定番用紙である「マットコート紙」「上質紙」とコート紙の違いを解説します。いずれも多くの印刷会社で取り扱いのある安価な用紙ですので、違いを知っておくとより目的にあった紙を選ぶことができるでしょう。
【 マットコート紙との違い 】
マットコート紙は、コート紙と同様、表面にコート剤が塗布された塗工紙ですが、コート紙よりも光沢が抑えられ、しっとりとした手触りが特徴です。印刷特性としては、コート紙に比べて光沢が抑えられている分、ほんの少し発色が抑えられる傾向にあります。一方、光の反射がやわらかく文字が読みやすいため、文字と写真が混在した印刷物や、白の多いデザインの印刷に使われる傾向があります。
<関連記事>
【 上質紙との違い 】
上質紙は、コピー用紙に代表される、さらさらとした光沢のない用紙です。発色はコート紙やマットコート紙と比べると沈むため、鮮やかな色の印刷には不向きです。
一方で光の反射が少なく、紙にインクが染み込みやすいため、文字を中心としたや印刷物に向きます。また、鉛筆やペンで書き込みがしやすい特性もあり、記入欄のある印刷物にも適しています。
<関連記事>
定番用紙の特徴
用紙 | コート紙 | マットコート紙 | 上質紙 |
---|---|---|---|
色の再現度 | ◎ | ◎ | △ |
表面の光沢 | ◎ | ○ | × |
筆記性 | △ | ○ | ◎ |
適した印刷物 |
|
|
|
コート紙に適した用途
【 写真や鮮やかな色を用いた印刷物 】
コート紙は、表面の塗工処理のためインクの乗りが良く、色の再現度が高いのが特長です。また、光沢感が強く鮮やかな色との相性も良いため、写真や色表現を重視した印刷物に向いています。チラシやポスター、カタログなど、幅広い用途に使うことができます。
【 コストを抑えたい場合 】
コート紙はマットコート紙、上質紙と並んで、最も安価な部類の用紙です。発色に優れる用紙は他にも多くありますが、コスト面を重視したい場合、コート紙はコストパフォーマンスに優れた用紙と言えるでしょう。
コート紙に不向きな用途
【 鉛筆・ペンでの書き込みや押印 】
コート紙は、紙の表面がつるつるしているため、鉛筆やペンでの書き込みには不向きです。また、スタンプや印鑑のインクが乾きにくい点にも注意が必要です。書き込みや押印を想定する印刷物には、上質紙のような非塗工紙を選ぶのが良いでしょう。
【 文字を中心とした印刷物 】
文書や小説本など文字を中心としたものや、漫画本のようなモノクロ中心の印刷物の場合、コート紙は光を強く反射するため、読みづらさを感じるかもしれません。こうした用途では上質紙など光の反射が少ない用紙が適しています。
【 家庭用プリンターで印刷する場合 】
コート紙は、家庭用プリンターに多い、インクジェットプリンターやレーザープリンターとの相性がよくない点にも注意が必要です。これらのプリンターではインクが紙に馴染まず、にじんでしまったり、場合によってはプリンターの故障にもつながります。家庭やオフィス用プリンターで印刷を行う際にはメーカー推奨の用紙を使うようにしましょう。
コート紙への印刷はグラフィックにお任せください
いかがでしたでしょうか。コート紙は、光沢感と色の再現性に優れた、印刷における定番用紙です。安価で扱いやすく、チラシやポスター、カタログなど、さまざまな用途に利用することができます。特に写真やイラストなどのフルカラー印刷においては、高いコストパフォーマンスを発揮するでしょう。
当社のネット印刷でもコート紙での印刷を承っています。チラシやパンフレット、豊富な印刷商品ラインナップに加え、様々な厚みの用紙バリエーションをご用意しています。また、実際に用紙を触れて質感を確かめられる用紙サンプルもご請求いただけます。ぜひご利用くださいませ。
コート紙に関するよくある質問
コート紙とは何ですか?
紙の表面がコーティング加工された、つるつるとした印刷用紙です。
色の再現性に優れ、コストも安いことから様々な印刷物に使用されています。コート紙のメリット・デメリットは?
メリットは色の再現性が高く、コストが安い点です。
一方で文字を中心とした印刷には不向きなこと、書き込みがしにくいといったデメリットがあります。光沢紙とコート紙の違いは?
光沢紙はコート紙より光沢度が高く、主にインクジェットプリンターでの印刷に適した加工が施されたものを指します。