ユポ紙とは?特長や用途、メリット・デメリットを解説
ユポ紙は、紙とプラスチックフィルムの特長を合わせ持った合成紙です。普通の紙と異なり、水や油に強く、破れにくいなどの利点があるため、屋外ポスターや飲食店のメニューなど、日常の様々なシーンで使われています。
ここでは、ユポ紙の特長やメリット・デメリット、おすすめの用途についてご紹介します。
ユポ紙は紙によく似た「合成紙」
ユポ紙は正式名称を「ユポ」といい、プラスチック素材のひとつである「ポリプロピレン」と、天然鉱物「無機充填材」から作られるフィルム法合成紙です。
なお、「ユポ」の名称は株式会社ユポ・コーポレーションが開発・製造を手掛ける商品名であり、商標登録もされています。
合成紙であるユポ紙は、プラスチックフィルムのような特長を持ち、撥水性が高く破れにくい特性があります。一方、「紙」と称されるとおり、見た目は紙によく似ています。商業印刷はもちろん、油性ペンや鉛筆などによる筆記に適しています。
ユポ紙に高い撥水性や強度などの特長が備わっているのは、3層構造となっていることに由来します。内側の基層が「強さ」を確保し、これを挟む2枚の表層で紙と同じように「書く」「印刷する」ができるようになっています。
ユポ紙のメリット
ユポ紙には、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、ユポ紙の主なメリットを5つご紹介します。
【 撥水・耐水性が高い 】
一般的にパルプ(木材)で作られた紙は濡れることで大きなダメージを受けますが、ユポ紙は水に濡れてもふやけることがなく、形状がほとんど変化しません。屋外などの撥水・耐水性が必要な場所において、ユポ紙はメリットを発揮します。
【 フィルムのように破れにくい 】
ユポ紙は、破れにくいという特長を持っています。折り曲げたり、強い力で引っ張ったりしても、破れることはほとんどありません。常に風雨にさらされる屋外用ポスターなどでも使えるのが、合成紙であるユポ紙の大きなメリットです。
【 紙に近い質感で筆記できる 】
ユポ紙は紙のように表面に書き込むことができます。しかも、油性ペンで書き込めるだけでなく、選挙投票用紙など一部のユポ紙は、鉛筆での書き込みが可能です。
【 油や薬品が付着しても変化しづらい 】
プラスチックフィルムのような特長を持つユポ紙は、水だけでなく、油や薬品、有機溶剤にも高い耐性を持っています。紙は油や薬品が付着すると、染みたり色が変わったりしてしまいますが、ユポ紙は変化や劣化することがほとんどありません。油や薬品などの液体用容器のシールラベルにも適しています。
【 製造過程がエコでリサイクルも可能 】
ユポ紙は、製造過程で有害物質や環境汚染物質を使用していないため、環境に優しい紙といえるでしょう。また、プラスチック素材であるため、プラスチックパレットなど再生加工品の原料としても利用可能です。主原料の一部を植物由来のバイオマスプラスチックに替え、CO2排出量削減に貢献している製品もあります。
ユポ紙のデメリット
使い勝手の良いユポ紙ですが、いくつかデメリットもあります。ユポ紙のデメリットについても確認しておきましょう。
【 印刷加工が限られる 】
ユポ紙は基本的に紙と同様、印刷を行うことができますが、折りや孔開けのような一部の印刷加工ができない場合があります。これは熱で収縮や変形が起こったり、折り曲げに対する反発が強いユポ紙の特性によるものです。
印刷会社によっては、ユポ紙の加工を行っていないこともありますので、ユポ紙に加工を行いたい場合は、あらかじめ印刷会社に確認しておくと安心でしょう。
【 印刷できる印刷機が限定される 】
ユポ紙は高温で変形してしまうため、利用できる印刷機がオフセット印刷機やインクジェットプリンターなどに限定されます。一部例外はありますが、印刷時に高温になることが多い輪転機やレーザープリンターでの印刷には不向きです。オフィスでの利用が多いレーザープリンターでは印刷ができないため、別途、印刷会社に発注する必要があります。
【 普通の紙に比べるとコスト高 】
ユポ紙は、普通の印刷用紙に比べて比較的高価です。また、使用できる印刷機が限られるため、取り扱いサービスが少なく、結果として印刷料金も高くなりがちです。使用目的などを鑑みながら、費用対効果を含めた検討が必要でしょう。
ユポ紙の特長を活かした用途とは?
ユポ紙は、私たちの身の回りでよく利用されています。どのようなものに利用されているのか、具体例をご紹介します。
【 投票用紙・選挙用ポスター 】
選挙に用いられる投票用紙も、ユポ紙で作られています。投票用紙がユポ紙である理由は、鉛筆での書き込みが可能なことはもちろん、折り目がつきにくい性質によって、折られた投票用紙が投票箱内で自然と開くことが挙げられます。集計作業時に紙を開く手間が不要になることから、ユポ紙は投票用紙として採用されています。
また、屋外に貼り出される選挙用ポスターにも、雨や破れに強いユポ紙が採用されています。選挙用ポスターでは貼り付けに便利な、裏面がシールになったユポ紙が用いられることが多く、選挙期間中に雨ざらしでも、しわが寄りにくく、剥がれにくい性質を持っています。
【 車両の広告ステッカー、飲食物のラベルシール 】
ユポ紙は、タクシーの乗降ドア窓部に貼られた乗車料金・広告ステッカーや、電車窓部に貼られた広告ステッカーの素材にも使用されています。風雨に強いことに加えて、表側に印字された文字・絵柄が裏側に透けにくいという特性も、ユポ紙が採用される理由の一つです。
また、飲食物のラベルにもユポ紙が使われています。結露などの水分に対して強く、破れにくいことから冷蔵・冷凍食品ラベルシールにも最適です。
【 販促用POP 】
ユポ紙は、販促用POPにも数多く用いられています。具体的には、陳列棚やレジには貼られて揺れる「スイングPOP」や、お酒のビンやボトルの首に掛ける「ボトル首掛けPOP」などが挙げられます。
小売店の棚などに設置される販促用POPは耐久性や撥水性が求められるため、以前は印刷した紙にラミネート加工を施して作成することが多かったのですが、ユポ紙ならそうした加工が不要になります。
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合成紙であるユポ紙は、普通の紙と違い「水に強い」「破れにくい」といった多くのメリットを持っています。普通の紙では不向きな場面でも、使い方次第で大きな活躍が期待できる素材です。
当社グラフィックの印刷サービスでもシール、ポスター、販促POPなど、様々な商品でユポ紙への印刷を承っています。ユポ紙への印刷のことなら、グラフィックにお任せください。